国立大学附属病院長会議
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大学病院を考える議員連盟に要望書を提出

 

国立大学附属病院長会議は、国立大学病院関係予算の確保・充実に関する要望書を作成し、7月9日、河村官房長官を会長とする「大学病院を考える議員連盟(河村建夫会長、松野博一事務局長)」に対して、河野千葉大病院、武谷東大病院長、坂本東京医歯大病院長、櫛山東大病院事務部長、竹田千葉大病院事務部長、兼山病院長会議事務局長らが会議を代表して陳情した。

【要望先】
 ○大学病院を考える議員連盟
     会長                   河村 建夫
     事務局長                松野 博一
    *その他の議員については、事務所に要望書を郵送。

【要 望 書】
国立大学病院はこれまで、明日の日本を担う医療人の育成、先端医療の研究開発、質の高い医療の提供、さらに地域医療における「最後の砦」としての役割などを通じ、社会に貢献してきている。
法人化後は過度の経営改善係数により、附属病院運営費交付金が平成21年度予算では207億円と、法人化当初の3分の1近くに減少する中で、地道な経営努力を行いながら地域医療を支えてきた。
しかしながら、附属病院運営費交付金の急激な削減や診療報酬点数のマイナス改定といった外部要因のために、経営重視の病院運営体制となり、併せて医師の過重労働や民間との給与格差などによる医師の大学病院離れ、卒後臨床研修制度導入を引き金とした研修医の大学病院離れが生じている。また、診療時間の増加のため、相対的に教育研究時間が減少し、教育研究開発機能の低下が顕在化し、高度医療人の養成機能や高度な研究開発機能・国際競争力など国立大学病院に課せられた使命達成の危機を招いている。
このような状態が続けば、国立大学病院が地域においてこれまで果たしてきた「最後の砦」としての機能が崩壊し、ひいては地域医療の崩壊を一層加速させるものと危惧している。
以上のことから、国立大学附属病院長会議として次の点を要望する。

1.第2期中期計画期間中の運営費交付金の算定にあたっては、現行の効率化係数(1%)及び経営改善係数(2%)を抜本的に見直し、国立大学病院の使命が果たせるよう必要な財源措置を行うこと。
  医療費抑制策のもとでの、病院収入の2%に当たる純利益を上げるという厳しい経営改善係数の適用は、懸命な増収努力を持ってしても、教育・研究開発機能の低下はもとより、地域医療の崩壊をももたらすものである。このような現状を認識いただき、第2期中期計画期間中(平成22年度〜27年度)における、運営費交付金の算定にあたっては、現在の経営改善係数を撤廃し、国立大学病院が適切な運営を行えるような財源措置を講じ、災害や新興感染症パンデミック等の特別な事態が発生した場合の財務上のセーフティーネットについても十分に配慮いただくよう要望する。加えて、「骨太の方針2006」に基づく毎年1%の運営費交付金の定率削減や平成17年12月の閣議決定にもとづく総人件費抑制策についても適用除外となるよう要望する。


2.国立大学附属病院がその機能を適切に果たしていくために必要な施設・設備について必要な財政措置を行うこと。
国立大学病院の施設整備については、必要経費の90%が財政投融資で行われており、この返済額は全国立大学病院で約1,100億円となっている。これらの返済額は全国立大学病院の収入約7,000億円から返済しているが、各大学病院では古くなった医療機器の更新、施設整備の先送りするなどにより、この返済額を捻出している状況が続いており、国立大学病院の使命である高度医療の提供ができなくなってきている。このことは、地域における「最後の砦」としての機能が果たせなくことを意味しており、教育・研究はもとより地域医療にも大きな影響を与えることは必至の状況である。
このため、国立大学病院が地域医療における「最後の砦」として、その使命を果たしていくための施設整備及び医療機器の更新に必要な経費についても措置いただきたく要望する。特に、施設整備においては、整備面積のうち教育・研究等に必要な面積や収益性の向上に連結しない構造面から生じる整備単価の高騰分について、施設整備費での措置を要望する。

3.国公私立大学病院を対象とした教育・研究及び地域医療・高度医療に係る財政支援の拡大・充実を図ること。
  国立大学病院に限らず全大学病院(国公私立)は、その使命である教育・研究に加え地域における中核的医療機関として、高度医療の提供をはじめ地域における医療水準の向上に大きな役割を果たしてきている。これらの役割は一般病院においては困難な役割であるため、各地域における特殊又は高度な診療を担当するという大学病院への期待は年々高まってきており、各自治体からの要望も多くなってきている。しかしながら、医療費抑制策などにより病院収入(利益)は伸びず、その使命に応えるための財源措置がされない状態となっている。このため、全大学病院が教育・研究及び地域医療や高度医療を提供していくために必要な財政的支援の拡大・充実を要望する。

4.医療崩壊を防ぐための診療報酬上の措置を行うこと。
 1)中央社会保険医療協議会(中医協)への特定機能病院の関係者の参加を図ること。
   現在、中医協においては、平成15年度の包括評価導入以降、年々包括評価対象病院が増加し、今年度中には1,283病院となり、全病院数の約15%を占めるまで拡大したことから、DPC調整係数の廃止や機能別係数の導入の検討が進められている。特定機能病院は、導入当初から様々なデータを提供するなど、わが国における包括評価の拡大に貢献するとともに高度医療の提供などわが国の医療水準の向上にも大きな貢献をしてきている。しかしながら、DPCの見直し及び医療崩壊に関する検討には特定機能病院の関係者は中医協委員としては参加しておらず、特定機能病院関係者不在の状態で検討が行われている。このため、特定機能病院関係者として中医協委員としての参加を要望する。

2)勤務医が誇りを持って働ける医療現場の実現
 現在の医療崩壊は、「忙しく、医療のリスクが高い」ところから「忙しくなく、医療のリスクが低い」ところへ医師がシフトしていることが大きな要因の一つとなっている。特に、忙しくて医療リスクの高い自治体病院をはじめとした公的病院からの勤務医の離職が医療崩壊を招く原因となっている。
 国立大学病院においても、経営重視の運営姿勢をとらざるを得ない状況となっており、医師の過重労働や民間と比較しても低い給与体系の状態が続いていること、大学病院における就業の魅力である教育・研究が十分にできない状況となっていることから、大学病院における勤務医離れが進み始めており、このままでは、医師の養成機関としての使命が果たせなくなるばかりか、社会に対する優秀な医師の供給に支障が生じ、一層の医療崩壊が進むことは必至の状況である。
 以上のような現状を踏まえて、即効性のある対応としては、大学病院や自治体病院などの地域の中核的医療機関に勤務する医師の勤務環境・処遇改善が必要である。当直明け(実態は夜勤)の休業確保体制や必要な手当の支給が出来るようにすることからはじめ、救急や小児・周産期医療など医師不足分野も順次交替制勤務に移行できるようにしていくことが必要である。このため、国立大学病院や必要とされる医療機関に勤務する医師への診療手当て相当分を交付金の増額や診療報酬点数上で配慮することを要望する。
なお、国立大学病院をはじめとした各医療機関においても、当然、自らこれらに対応するような努力は必要であり、各診療科横並びの発想ではなく、社会的要請に応えるための対応も行っていく必要がある。
3)DPCにおける大学病院(特定機能病院)の適正な評価を行うこと。
  DPCの「機能評価係数」の検討にあたっては、一般病院と異なり、大学病院がDPC病院であることが閣議決定されていることにも鑑み、大学病院(特定機能病院)が果たしている機能・役割が適切に評価されるよう要望する。特に、医師の高度な専門研修を行っているなどの我が国の医療レベルの向上に果たしている役割が十分に反映されるよう要望する。
4)救急医療の実施に対する財政的支援
  国立大学病院は地域における「最後の砦」として救急医療にあたってきているが、それらの地域医療を担う部分に対する財政的補助はほとんど行われていないのが実状である。昨今の勤務医不足や救急患者数の増加に伴う過重労働による医師離れも顕著になり、国立大学病院においても救急医療をはじめとした地域医療に対する支援が立ちゆかない状態になってきているので、特に地域医療にとって重大な救急医療の崩壊を防ぐためにも国及び地方自治体による一般救急医療施設と同様な財政的支援を要望する。
5)小児入院医療管理料の適用
   特定機能病院以外の小児医療専門施設に対しては「A307小児入院医療管理料」(2100〜4500点)が認められているが、大学病院(特定機能病院)には施設基準を満たしていても算定が認められていない。このため、小児医療の中核的役割を果たしている特定機能病院に対する「小児入院医療管理料」の算定適用を要望する。
 6)集中治療室(ICU)、新生児集中治療室(NICU)及び母胎・胎児集中治療室(MFICU)での集中治療に係る管理料の増額及び算定可能期間の延長
   大学病院には地域の各医療機関からの紹介患者を多数受け入れてきているが、これらの患者は重症・難症の患者が多く、手厚い治療・看護が必要なためICU、NICU及びMFICUに在院日数の長期化が進んでいる。このため、ICU、NICU及びMFICUで算定する特定集中治療室管理料の増額や算定可能期間の延長を要望する。
 7)医師事務作業補助体制加算の適用
病院勤務医の負担軽減を図るため、地域の急性期医療を担う病院において、医師の事務作業を補助する職員を配置している場合には、「医師事務作業補助体制加算」が適用されるが、特定機能病院である大学病院は除外されている。救急や周産期の患者を受け入れるなど、医師の過重労働を少しでも軽減させるために配置している実態もあることから、本加算の適用を要望する。
 


 

2009年7月9日

 

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